「うちの子はアレルギーを持っているので…」
当院に転院されてこられる飼い主さんたちの多くが、そうおっしゃいます。
もちろん、ワンちゃんたちにアレルギーのある子がいるのは事実ですし、皮膚病の原因になる場合も当然あります。ただ、アレルギーと言う病気は、本当なら自分自身で診断ができるものであり、そんなに判断の難しいものではないはずです。
私の友人にこんなことを言う人がいました。
「熊本によく行くのだが、熊本から帰ってくると、必ずおなかの調子が悪くなるので不思議に思っていた。ある時、自分は馬刺しが大好きで、熊本に行くと必ず食べていたことに気付いた。そこで、鹿児島で馬刺しを手に入れ一切れだけ食べてみたら、案の定その日おなかを壊してしまった。もちろん、その後は熊本に行っても、体調が悪くなることはないよ。」
この話をどう思われますか？
実はアレルギーとはこう言うものです。その物質に触れると激しい症状が出ますが、その物質に触れなければ、問題は起きません。典型的なのが、花粉症です。花粉があると病気のような症状になりますが、花粉のない場所に行けば、病気のない人と何ら変わりのない生活ができます。
こう考えてくると、もしワンちゃんがアレルギーなら（もちろんネコちゃんでも同じです）、必ず何らかの物質に触れた後激しい症状を出し、その物質から遠ざかれば病気でなくなると言う事になります。それならば食事が原因のアレルギーならば、食事からくるアレルギーの元を断てば、皮膚病なども完全に良くなるはずです。つまり食事を変えたことによって完全に皮膚病が治ったのなら、それはおそらくアレルギーでしょう（正確には食物有害反応と言います）。
しかし食事を変えて完治をしないのであれば、アレルギーの可能性は極めて低いことになります。
もうひとつアレルギーと間違われやすい病気に、アトピーがあります。
さらに厄介なことに、アトピー患者の中には、アレルギーを起こす子も相当数います。
そうなると、アレルギーと診断受けた子で、皮膚病の治りが悪いのはアトピーがあるからではないかと言う話が出てきます。
確かに話としては間違いではないのですが、実はアトピーには典型的な皮膚炎があり、その症状を見ればアトピーかどうかはほぼ診断できるのです。皮膚に出ている症状を皮疹と言いますが、アトピーの皮疹があるかどうかで、本来は判別できるのがこの病気です。その皮疹を確実に診てくれる獣医師の先生なら、高価なアレルギー検査など受けなくても、治療へと進んでいくことでしょう。
アトピーの治療はとても根気がいり、なかなか大変なものですが、ご家族の取り組みがきっと解決につなげていくものと思います。
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